今年も早いもので残りわずかとなりましたね。皆さんとって今年はどんな1年でしたか?
今月に入り発表された2025年の新語・流行語大賞のトップ10の中に「二季」が選出されていました。近年の地球温暖化の影響で、夏と冬が長期化する日本の気候を表した「二季」ですが、これまで札幌は四季の移り変わりがはっきりしている土地柄でしたが、年々暑い日が長くなり、札幌も二季に変わりつつあることを強く感じてきております。この気候はしばらく変わることは無いと思われ、特に昨年くらいからは、暑さに耐えられず、エアコンを新たに取り付ける管理物件が増えております。
さて、年1回程度のブログの当番がまた私に回ってきました。今回は、休日たまにする散歩+昼飲みの中で、近くにいいお店を見つけましたのでご紹介します。
皆さんは、「角打ち(かくうち)」という言葉を聞いたことがありますか?、すぐに分かる方は、かなりの酒通ではないでしょうか?
私は最近知りましたが、「角打ち」とは、酒屋さんで購入したお酒を店内でそのまま飲むことをいいます。元々の由来は、四角い形の升の角に口を付けて飲むことを「角打ち」と呼んでいましたが、現在では、酒屋さんの一角を飲酒スペースとして仕切って、そこで立ち飲みすることを指すようです。さらに、酒屋さんでの立ち飲みに限らず、立ち飲み居酒屋でお酒を飲むことを角打ちと呼ぶ場合もあり、広い意味で用いられています。
角打ちは北九州が発祥の地といわれております。その始まりは北九州工業地帯の八幡製鉄所の深夜労働者達が仕事を終えて一杯やる場所に選んだのが、朝から営業している酒屋さんでした。彼らは酒屋さんの店先で買った酒を飲むようになり、角打ちの文化が生まれ、その後千葉に新たな製鉄所ができ、労働者が北九州から関東に移り住むことで、角打ちの文化も徐々に広がっていったそうです。
私の散歩ルートにあって、この角打ちをやっているのが、「千田商店(白石区本郷通2丁目南3-10)」という昭和29年創業、3代続く酒屋さんです。地下鉄「白石」駅から10分程度の位置にあり、当社管理物件の「ル・ノール南郷街」からも歩いて近い穴場のお店です。この日は、リニューアルオープン1周年の記念企画をやっていましたので、嫁さんを誘って一緒に角打ちを楽しんできました。

お店の入口には「☆☆角打ちしてます!!☆☆」の案内板がドンと出ています。日本酒の他にビールやワインなども飲むことができます。

この日はお昼の時間からたくさんのお客さんで賑わっていたので、カウンター部分は撮影できませんでした。
初めて入る人にとっては、少し躊躇ってしまうかも知れませんが、店内は明るくきれいで、店員さんも気さくなので、とても溶け込みやすいアットホームな雰囲気です。また前面道路は人通りが少ないので、一人で入ってもあまり気にならず、落ち着いて飲むことができると思います。
角打ちの客層はオジサンばかりのイメージがありますが、ここでは老若男女幅広い年齢層の方々が、それぞれの飲み方で角打ちを楽しんでいます。

店主さんから最初に「角打ち」の店内ルールをお聞きしました。ショーケースの一部に角打ちコーナーがあり、そこの棚の中から自分が飲みたいお酒を取り出して、レジカウンターまで持って行き、希望する容量を「60ml」、「120ml」、「160ml」から選んで、料金をお支払いする前金制です。

最初の一杯は、「アサヒマルエフ生ビール(マイルド)」を注文します。白石区に北海道工場があるアサヒビールですが、昨今サイバー攻撃によるシステム障害を受け、出荷量を調整しているニュースを聞いていましたが、ここでは品不足の心配なく、ビール樽からのマルエフを飲むことができました。また酒屋さんという場所だからなのか?お酒のプロの注ぎ方が上手なのか?家で飲むのとは違って新鮮でおいしくビールを味わうことができました。ちなみに下の写真のビールの右側のカップ酒は、嫁さんが角打ちで頼んだ「御湖鶴(みこつる)純米吟醸 無濾過原酒」の60mlカップ酒です。諏訪御湖鶴酒造場(長野県)のお酒で、酒蔵でつくられた味わいをフレッシュなまま封じ込めることのできるケグ(KEG)に入っています。この日は、リニューアル1周年記念でしたので、ラッキーなことに通常料金の半額でお酒がふるまわれていました。


店内に並ぶショーケースの一画に角打ちコーナーがあります。全国各地の日本酒がケグとビンで所狭しと並んでおり、豊富な種類が揃っています。どれにしようか迷った方は店主さんやスタッフの方に聞かれると、自分にあったお勧めの日本酒をやさしく教えてくれますよ。

角打ちコーナーの中から、辛口が好みの私は、「焚火」という辛口純米酒を選んでみました。
この「焚火」は、愛知県で生まれた高品質の酒米「若水」を全量使用した日本酒になるそうです。穏やかで上品な香りがあり、とてもキレの良い辛口に仕上がっているのが特長とのことです。高校3年生になる息子が、愛知県の大学を受験したいと考えているようだと嫁さんから聞き、「合格祈願」と充てつけて、このお酒「焚火」を選びました。本当にキレのあるおいしい日本酒で、景気づけにもうちょっと量を飲んでもよかったなと感じました。
お酒に合うおつまみメニューも豊富にあります。定番の「ミックスナッツ」、「枝豆」、「チーズ」の他にも「焼きおにぎり」に「ピザ」や「餃子」まで揃えられております。

通常のおつまみに加えて、「本日のおつまみ」として特別メニューもあります。
どれも食べたい物ばかりで迷いましたが、とり皮ポン酢、するめいか生姜醤油漬け、ウオサイさんのぶつ切りマグロの3品を注文しました。ご飯のお供にしてもいいくらいのクオリティーです。ぐいぐいお酒が進んでしまいます。


この日はイベント企画として、利き酒大会が500円で参加できるとあって、ほどよく酔いが回って、いい感じに仕上がっていましたが、楽しそうなので申し込んでみました。
今回の利き酒の題材は、山口県の銘酒「原田」の中から、①ナツ、②純米吟醸、③イセヒカリ、④西都の雫、⑤特別純米、⑥純米80の6種類を当てるものです。
「原田」は、山口県周南市にある文政2年創業(200年を超える)の老舗蔵元のお酒で、酒造好適米の「山田錦」「西都の雫」を使用、全量が地元米による純米酒造りにこだわりを持って歴史を重ね作られています。

まず先に店主自らがラベルを見せながら6種類の「原田」を注いでくれます。利き酒シートに記載された①ナツ~⑥純米80の順で、新しく開封したビンから60mlのプラスチックカップに注いて並べていきます(上段)。
次に、①~⑥の銘柄が分からないようにラベルが隠された6本のビン(色は同じ)から60mlのプラスチックカップにヒントも無く、それぞれ注がれて順番に並んでいきます(下段)。どれも見た目では色の違いはよく分かりません。
お酒の準備が整って、いよいよ利き酒大会のスタートです。下段のカップ酒が上段の①~⑥のどの銘柄になるかを当てていくルールです。ワンコイン(500円)で、6種類のお酒に、容量は60ml×12杯=合計720mlが飲めるのは大変お得です。参加者は私を含めて5人、全問正解の方にはプレゼント賞品があるそうです。
まずは上段のカップ酒を少しずつ口に含み、順番に香りと味をしっかり覚えます。次に下段のカップ酒を一口飲んで、上段のお酒に近いものを選びます。一口ごとにチェイサー(水)を飲んで、口の中をフラットに戻した状態にした後、次のカップ酒を飲んでいきます。常に口の中の感覚を研ぎ澄ませながら、この工程を繰り返します。しかし飲む回数が上がってくると、純米酒の違いが段々と分からなくなってしまい、当初の自信が揺らいで、決断に迷いに出てしまいます。今回の経験からあまり飲み過ぎると銘柄を絞り込むのはなかなか難しくなると思います。
周りに冷静さを装いながらも、隣にいる嫁さんの目線が気になり、心の中では間違えてはいけないとのプレッシャーがかかっていました。飲み比べに真剣になり、ペンとカップを持つ手に力が入ります。

結果は、6種類中、3種類(①・②・⑥)を当てました。一番わかりやすいと言われていた特別吟醸(一番高いお酒)を当てられたので、なんとか最低限のノルマは達成しました。他の参加者の方々も全問正解はいませんでした。

散歩途中の軽く一杯のつもりが、利き酒大会にも出場して、2時間以上もお店にいることになり、充実した角打ちを楽しむことができました。お店は10:00から20:00の間で営業しています。角打ちのマナーは、「長居しすぎないこと」がありますが、次回は飲む量をほどほどにして、滞在時間を注意して楽しみたいと思います。また今回は購入しませんでしたが、角打ちで飲んだ御湖鶴純米吟醸がおいしかったので、次回はずらりと並ぶ上段のケグ(KEG)の中から1つ選んで購入してみようと考えています。ここは散歩道なので、また伺います。

角打ちは何と言ってもその手軽さが魅力です。飲み屋と違って、一杯だけ飲みたいときにも気兼ねなく利用できます。また、飲む分だけをその都度支払うシステムとなるので、飲食店のようなサービス料やお通し代などもかかりません。もともと飲食を行う場所ではないため、店頭では簡易的なスペースを設けていることが多く、おつまみも低価格な場合がほとんどですのでリーズナブルに楽しめます。
また居酒屋で飲もうと思うと夕方以降の開店を待たなければならない場合がほとんどですが、酒屋さんは午前中から営業していることが多いので、早い時間からお酒を楽しむことができます。この「時間に縛られず飲める」というのは角打ちが始まった理由でもあり、大きな魅力のひとつです。飲みたいときにサクッと飲めるのも嬉しいものです。
その他角打ちの魅力は、酒好き同士がコミュニケーションをとれる場にもなります。常連さんもいれば、初めてそこを訪れる人もいるでしょうけれど、「角打ちをしよう」と考える時点で、その人は酒好きに違いありません。その場の雰囲気で日本酒がコミュニケーションツールとなって会話が弾むのではないかと思います。
さらに角打ちは、気になるお酒を少量ずつ試せるので、異なる種類を飲み比べて自分好みの日本酒を探せます。酒屋さんは日本全国のさまざまな銘柄を取り揃えている場所である上、そこにいる店主はお酒のエキスパートです。どんな日本酒が飲みたいか伝えれば、おすすめのお酒を提案してもらうことができます。
異なる日本酒を飲み比べるだけでなく、同じ銘柄でも飲み比べながら、味わいの違いを楽しむのも良いかもしれません。実際に角打ちで気に入った日本酒を、そのまま瓶で買って帰れるのも、角打ちの良いところです。日本酒の楽しみを広げるために、角打ちできる店舗へ足を運んでみてはいかがでしょうか。白石区には「千田商店」さんがありますよ。昼飲みのお店は増えていますので、新規開拓を嫁さんと一緒に楽しみたいと思います
PM事業部 山田
